出来なくて当たり前 出来たら男前

青年海外協力隊fiji野球隊員備忘録.小言戯言独り言。

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何のために?

来年の1月に控えたオセアニアチャンピオンシップへ向けて、ナショナルチームの練習が続いている。


先週からスクールホリデーに入った首都スバは多くの若者でにぎわっている中、繁華街ではなくグラウンドに足を運ぶ彼ら。

 

最近では集合時間通りか少し早めに来ている選手もいる。大きな変化である。

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  • 何のため?
  • お金のため?

 

 

 

技術云々も非常に大事だが人間的な成長こそ大事だと考えたい。
野球をやって野球だけ上手くなっても、野球の技術が日常生活で役に立つことは殆どない。

 

ってなわけで野球を通して人間教育ができたらなと偉そうに思っているわけですが、その辺の話はまたそのうち…

 

 

私は現在ありがたいことに野球を生業にさせていただいているが、ここフィジーにおいて野球で生活しているのは私と同僚の二人だけだ。

 

 

「野球では飯が食えない」というのが専らの見解だ。

 

フィジーにおいて野球は超マイナースポーツ。仕事にできるわけがない。

もちろん野球のプロリーグも “未だ” ない。(だから普及員として派遣されている)

 

日本で生まれ育ち、4歳から野球をやっている自分にとって当たり前のようにあった「プロ野球」がない。

 

    

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野球少年にとってそれは夢であり憧れであり目標。

 

勿論それだけが全てではないが大半の野球少年が目指しているものだろう。

私もその昔「プロ野球選手になる」ことが夢だった。

私の夢、目標は「プロ野球選手になること」であって それ以上でも以下でもなかった。

 

「なぜ?」と問われたことはないのでわからないが今になって推測するに「野球が好きだから、野球を仕事にしたい」と考えていたのではないだろうか。

 

実際のところは「カッコいいから」だったかもしれないし、当時の私はクラスの誰よりも早く野球を始めていたし誰よりも走るのが速かったし誰よりも野球が好きだった(最後のは自称)故に野球をしていることが自分のアイデンティティのようなところもあったかもしれない。

 

 

つまり何か明確な目的をもって野球をやっていたわけではない

「お兄ちゃんが始めたから僕もやる」そんな理由で入った野球チームで幼稚園の頃から「週末には野球をやることが当たり前」になっていた。

 

これまでもこれからも「当たり前のように」野球をやるもんだと思っていた。

プロ野球選手になって、いつまでも野球を続けていくのだと。

 


プロ野球選手ではないが23歳のいまでも野球に携わっているし野球を仕事にしたい」という夢はある意味で叶ったことになる。

 


彼らは何を目標に野球をやっているのだろう。

彼らの夢は何だろう。

 

 

Why do you play baseball?
What do you play baseball for?
What is your goal?
What is your purpose?

 

 

こんなことばかりを尋ねる毎日。

考えてほしいから。

 

親に無理やらされているわけでも、誰かに頼まれたわけでもなく、自分たちの意思でグラウンドに来る。

何のために野球をするのか。

考えてほしい。

 

 

どんな答えでもいい。考えたうえで「(未だ)わからない」も答えだと思う。
でも考えてないのは良くない。


「エクササイズ」とか「健康のため」でもいい

なんだったら「暇つぶし」でもいい

「好きだから」とか「楽しいから」だったら最高だし

「グラウンドが居場所」っていう子も居るかもしれない。

 

 

 

 

 


ある選手にこんなことを聞かれた。


オセアニアの大会で買ったらお金もらえる?」

 

現段階では優勝チームへの賞金などの話は出ていない。

 

「世界大会へのチャンスが貰えるよ」

「世界大会で買ったらお金もらえる?」

 

この問いに対する正しい回答は判らなかった。

 

プロ野球選手になれるチャンスが貰える(かもしれない)よ」

 

決してウソではない。世界大会ともなれば各国からメディアやスカウトが来る。彼らの活躍が目に留まれば…というのは可能性の範囲ではありうる話だ。

 

プロ野球選手になったらお金がもらえる?」

「貰えるね」

 

ラグビー選手の何倍も貰えると言ったら目を輝かせていた。

 

家を建てて車もパソコンもケータイも2台づつ買う。
グローブは3つスパイクは6個買うんだ。
ケントと同じサングラスも欲しい。

 

 

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 彼女をいっぱい作る。っての以外は応援すると言った。
ついでに無職だったら雇ってくれるという約束もした。
 
彼は「プロ野球選手になってお金持ちになりたい」と言った。
 
目標は“お金持ち”になることで“プロ野球選手”はあくまでも手段。
 
ただ「プロ野球選手になりたかった」小学生の頃の自分の夢よりも、明確なものを描いていた。

 

 

プロ野球選手になって活躍したいでも
プロ野球選手になってチームを優勝させたいでもなく
プロ野球選手になって美人アナウンサーと結婚したいわけでもない。
あの頃の大嶋少年は“ただ”プロ野球選手になりたいとしか思っていなかった。

 

その点その選手は“なんで”プロ野球選手になりたいのかが自分でわかっているだけ夢には近いと感じた。

 

自分でこそ「好きだから、楽しいから」野球指導者を選んだわけで
プロ選手の中にも「お金の為にやっているわけじゃない」という選手もいるだろうし、それは素敵な考えだと思う。


しかし、途上国にて「お金のため」にプロ選手になろうと考えるのは至極当然なことだし、それを否定することはできないと思った。

 

「お金のため」に何かをすることが恥ずかしいことだと思っていたことが恥ずかしい。


“何のために”やるかなんてみんな違うだろうし、ゴールが明確なほうが到達もしやすい。

そんな事を12歳の子どもから教えてもらった。

 

その日から「夢が逃げるぞー」とボールを追いかける少年に檄を飛ばしている。

 

NO SWING

NO HIT!!!!!‼

 

 

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