最近 学級崩壊 してました
同僚の出張が伸びて、もう1週間一人での活動となることになり発狂しそうですが、逆に“自分の好きなようにやれる”と思いはじめたやけくそ気味野球隊員大嶋です。
前回まで活動(野球)のことを書くのを避けていました。
現実逃避しまくっていました。先輩隊員のとこへ遊びに行ったり、最新映画を見たり、お菓子食べたり、J-popばっか聴いたりしてました。
no-swing-no-hit.hatenablog.com
なぜかというと、単純に上手くいっていなかったので書きたくなかったからです。
子ども相手の仕事だから仕方ない部分はあるものの…
集合時間に選手がグラウンドに来ることはなく30~60分待つことが殆どで、中には最後の片づけをしている時に来る選手も
遅刻してきてアップもせずにいきなり練習に飛び込んで「肩が痛い」だの「足が痛い」だのと、外傷以外のケガが多い
疲れると仮病(明らかなウソ)を使って休む
好きじゃない練習はやらない
水を飲みに行った30分後お菓子を食べながら帰ってくるなど
挙げたらキリがないほどのコンニャローのバーロー岬
顔色を伺いながらフィジー語で何かを話したり(多分グチ)
怒られるとわかっててワザと石を投げたり
極めつけは、自分のミスでエラーしたのに「グローブが悪い」と放り投げたり蹴飛ばしたり
さすがに大声で怒鳴りつけてしまった。
それからというもの毎日のように練習中に怒っていました。
選手が来ない。イライラ。
やっと来たけどすぐサボる。
アップしない。ケガする。
集中力散漫。ミスする。道具にあたる。→ 怒る。
の繰り返し。
雰囲気の悪い練習が続いていた。
ナショナルチーム発足から1ヶ月。同僚がグラウンドに来たのは3度。
それ以外は一人で見ているせいか「舐められちゃいけない」という内なるプレッシャーから、よく怒るコーチになっていた。
そのせいかチームの雰囲気は最悪。学級崩壊状態。
2週間くらい「楽しくないなぁ」と思いながら活動していたし、子どもたちも楽しくなかったはず…
そして今。オセアニア大会まで1ヶ月。
チームの雰囲気良いです!
挨拶とか、グラウンドのごみ拾いとか、アップは勿論、あんなに嫌がっていた筋トレも素振りも全部 自分たちから進んでやっています。
以前は負けたチームが罰ゲームでやっていた片付けも自主的にやるようになりました。
昨日なんか集合時間より前に来てた子どもに「ケント遅いよ」とか言われる始末。
技術面も勿論めっちゃ成長してます。
水を与え過ぎたサボテンのようにぐんぐん伸びます。
元々の高いポテンシャルに正しい知識と技術が加われば無敵です。
まさに「鬼に金棒(金属バット)」です。
なんだろうこの変化は?
「どうにかしよう」と思って色々やったけど、色々やりすぎて何が彼らを変えたのかわかりません。
ということでこの1ケ月で自分なりに効果があったのではないかと思われることをまとめてみました。
- 欲求を満たす
- 怒らない宣言
- 面談
- 目標設定
- 飴と鞭
① 欲求を満たす
マズローの欲求5段階説※をもとに子どもの自己実現欲求(「もっと○○になりたい」ってやつ)を引き出すためにできることを考えた。
生理的欲求→トイレにいつでも行けるルール。すぐ水を飲めるルール。(ボトルを用意)
安全欲求 →ケガをした時の処置。絆創膏やテーピング対応。
社会的欲求→大嶋では無理
尊厳欲求 →②③に繋がる
自己実現欲求以外のものをできる限り埋めることで、自らの意思で「上手くなりたい」とか「勝ちたい」とか「もっと野球をしたい」と思ってもらえるようなアプローチ。
② 怒らない宣言
文字通り。「もう怒るのやめるわ。今までごめんな。」と言ってしまう。
子どもたちも驚いていたが最初の一日で理解した様子だった。
逆に褒めるるようにした。
「ベースに投げろよ」→「ここまで届いたの凄いじゃん。あとちょっとだな!」
「まずはボール捕らなきゃ」→「エラーしたけど、その後の送球よかったな!」
あとは「Don’t ~」という言い方をやめた。
「走るな」じゃなくて「歩こうぜ」っていうやつ。
日本語だと簡単だけど英語だと脳内変換に時間がかかるのが難点。
「ミスをするな」と言えば高確率でミスをするように人の脳はできてる。
— KeisukeHonda(本田圭佑) (@kskgroup2017) 2017年11月4日
ミスを意識させるのではなくて、どうやったら上手くできるかを意識させることができれば、自ずとミスは減る。
それを理解してる指導者が世界にはどれだけ少ないことか。
③ 面談
一人ひとりを呼び出して秘密のお話をしました。(子どもはみんな秘密が好き)
「いつから野球ってるんだっけ」とか「どこのポジション守りたい?」とかから始まり“将来の夢”とか“今後の目標”とかまで聞いちゃう。
最初はふざけながらもいつの間にかまじめな話に誘導するやつ。←これ意外と得意(笑)
④ 目標設定
③で個人の目標を把握したら定期的にリマインドする。
チームの雰囲気や練習がダラけてきたら「みんなは何で野球やってるんだっけ?」とか「将来プロ野球選手になりたいのは誰と誰だっけ?」とか言って煽る。
あとは選手が勝手に頑張る(笑)
練習メニューにも一つひとつの目標を設定する。
ただキャッチボールをしてるだけだったのを、距離を変えたり制限時間を設けたりする。
ベースランニングも一人ひとりタイムを計る。
記録をとると子どもたちも競って取り組むので競争が生まれるし、定期的に計測することで成長を見て取れるしモチベーションに繋がる。
みんなで一つの目標に取り組むというのは団結力を生むし、衝突も生むけど、コミュニケーションも自然に増えるし結果的に効果があったと思う。
⑤ 飴と鞭
競争を増やすことで選手のモチベーションアップには成功したが、回数も増え慣れてくると興奮もしなくなる。
そこで強制的に奮起させるのが「勝者への飴」か「敗者への鞭」。
使い方があっているかどうかは不明だが、結果的にかなりの効果を発揮したのではないだろうか。
手っ取り早いのが後者。罰ゲーム。
最初は片づけとかダッシュにしてたけど、彼らは走るのが大好きなので罰ゲームにならない。
今ではスクワットや腕立てを黄色い声をあげながらやっています。
難しいのが飴。そもそも野球が出来ること自体が飴のようなものだった自分からすると、練習以外に飴を用意するなんて発想はありませんでした。
しかしここはフィジー。相手はこども。
ということで「少しでも練習が楽しくなるように」とで練習中に音楽をかけはじめました。
筋トレやダッシュ、素振りの時間に彼らのテンションが上がりすぎて踊りだしてしまった日も在りましたが今では調子がわかってきました。
そして以前から提案があったプールに行ってのトレーニング。
「どうせ遊びたいだけやん」と却下していたものを決行してみました。
子どもを連れてプールに行くのは遠足のようですが統率が取れないという恐れも抱きつつやけくそで行ってみました。
案の定ハイテンションの子どもたちは遊びまわっていましたが「今日はそういう日」と割り切って自分も遊んじゃいました。
結果。楽しかった。
水深2m。飛び込んでくださいと言わんばかりのガラ空き具合とノーマークの監視員。
楽しくないわけがない。
プール行く前にみんなで悲鳴を上げるほど筋トレをしたのに、プールで3時間騒ぐほどの体力を持っていることも分かったし、選手の新たな一面も見られて良い機会だった。
そして一番迷ったのがバットの貸し出し
フィジーには野球道具を売っている店はなく
ナショナルチーム選手ですら野球道具をもっていない。
野球協会の保有する道具を毎回タクシーに乗せていってるのが現状。
練習したくても道具がなければできない。
じゃあ貸すしかないじゃん。
迷っていたのはケレケレ文化による“借りパク”と紛失盗難によるバットを使った犯罪が起きることを危惧したから。
でも信じるしかない。
家に帰って振ってるかどうかはスイングや手のひらを見ればわかる、でもそうじゃなくて信じることにしてみた。
今じゃ「道具の手入れをしよう」とか「両手で捕るんだ」とかコーチのようなことをいう選手も出てきました。よきよき。
他にも“勝手にコーチに任命作戦”と“背中で語る”作戦もありましたが今回は割愛。
「今までやってなかったのか」と呆れるようなこともありますが、“15人もの思春期の少年を一人でみるので手いっぱい”と諦めていました。
今回の経験は「意外と一人でもできることあるじゃん」という自信に繋がりました。
“子どもは大人の写し鏡”
子どもがつまらなそうにやっているのは先生のせい
先生が笑顔ならクラス全体が笑顔になる
子どもを楽しませるためには、まずは自分が一番に楽しむ
そんなわけで大事なことを思い出して誰よりも野球を楽しんでいる大嶋と
最近笑顔が増えた子どもたち
そしてこんないい流れを全て無に帰すような巨大な不安要素に気付きつつも見て見ぬふりをしています。その辺は次回にでも。
今は出来ることを信じてやるだけ。
今年も残り18日!
何回練習できるかな。
NO SWING
NO HIT!!!!!