出来なくて当たり前 出来たら男前

青年海外協力隊fiji野球隊員備忘録.小言戯言独り言。

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初めて同僚が休んだ

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日本が連日の大雪や寒波で騒いでいるところ、フィジーは日に日に暑さと湿気を帯びた生ぬるい時間を増し 遂に7か月目にして扇風機を購入しましたフィジー野球隊員大嶋です。

東京に雪が降るたびに写真を添えて報告してくる母親のLINEが鬱陶しい今日この頃です(笑)

 

 

 

先週は報告書に追われて更新できませんでした。という言い訳を小さめに書いておきます。

 

 

 

 

さて、タイトルの話ですが

 

私の同僚CP(カウンターパート)はフィジアンの中で物凄く働き者です。

どれぐらい凄いかと言うと、もうそれは一般的なフィジアンのそれとは比べ物にならないぐらい凄さが凄く凄いです。

 

9時~5時で働きます。土曜も働きます。時には6時半過ぎてもオフィスでパソコンに向かっています。

どんだけ働くの?ホントにフィジアンなの?っていうフィジアンです。

 

 

唯一の同僚がそんな人なので私もオフィスにいる時間が長いです。

先週初めて土曜にお休みをいただいてお出かけをしたのですが “自分以上に働く同僚” に「休み貰っていい?」と聞くのは心苦しかったです。

https://www.instagram.com/p/BexYII3H31hOgQqIPAU_vUTppq0Puj5BjEmo6I0/

初めての土曜休みを貰ってSigatokaへ。猫イヌ馬ヒトと友達になった2日でした。フィジーの温泉は温かった。#Fiji#Shigatoka#Hotspring

なぜかって、私が配属されてからというもの6か月で同僚が休んだことは一度もなかったからです(子どもが風邪をひいて面倒を見てる系は2度ほどあったが)

 

それぐらい休まないんです。シックリーブとか回数制限されるくらい皆が「どうにかして休もう」としている国でこんなにも働く人がいるなんて。

 

親日家で友達も多く待ちを歩くといろんな人とハグして握手してハイタッチしてます。

リレーションシップの鬼です。

 

先日帰国されたSVと仲良しで最終報告会にも一緒に参加して日本語の発表も一生懸命聞いていました。

日本語が殆どわからないのに一生懸命聞きすぎて疲れて眠ってしまうくらい一生懸命な人です大好きです。

 

JICAオフィスの中でも有名な働き者。

某VCは彼のことを「一番好きなフィジアンの中の一人」と言っていました。

基準は良く分からないけど一番は凄いことです。

 

 

 

 

 

 

その彼が月曜日に仕事を休みました。

 

 

9時出勤の職場で9時に連絡がきました。

「今日は休みにしよう」

彼が職場のカギを持っているので大嶋も自動的にお休みに。

 

翌日聞いてみることに

 

 

 

「母親が亡くなった」と

 

言葉が出なかった。

 

「とても悲しい」と言う彼の表情はいつもより少し強張っていたが、優しい彼の顔でした。

 

 

男の子にとって母親というのは特別で絶対的な存在。
口うるさくて喧しい。何度突っぱねても見守ってくれてる。

どんなに酷い言葉をぶつけても何度期待を裏切ってもいつも信じて待っててくれる。
大嫌いで大好きな存在。

 

 

母親を亡くすということが、心にどれだけ大きな穴を空けるかは推し量るに易い。

 

それでも彼は「残念だ」という言葉を最後にそれについては触れなかった。


何事もなかったようにいつもの野球の会話に入る。

 

 

 

フィジアンは感情を隠すことがある。

 


JICAの現地職員(フィジアン)が話してくれた。
悲しい時、寂しい時、辛い時、時には嬉しい感情だって隠すことがあるという。

日本の「我慢」の文化に似ているものだろうか。

 

 

「死ぬということは、現世の苦しみから解放されるということ。悲しいことばかりでは無い。」という考えあるのだとか。

 

だからお葬式も派手なのか。

一度出た葬式はカヴァを飲みながら楽器を演奏して歌を歌っていた。
Facebookでも誰かのお墓の前で笑顔で写真を撮ってあげてる。

 

悲しむことだけが弔いではない。
笑顔でいることで故人を安心させる。

そんな考えもあるんだと勉強になった出来事だった。

 

 

 

 

 

 

昨日、日本で7年間お世話になったバイト先の社長が亡くなられた。

 

私は社長の名前を知らない。毎朝挨拶していたのに。7年もいたのに。

 

社長は社長ではなかった。

引退して息子さんに社長の席を譲っていた。実質会長。

 

でも皆「社長」と呼んでいた。

自分もバイト仲間も後輩も。

社長は「社長」と呼ばれるのが好きなようだった。

 

 

女将さん(娘さん)は「おいジジイ」と呼んでいた。

孫たち(女将さんの息子)も「ジジイ」と呼んでいた。

 

7年間で社長に唯一怒られたのが “エビの尻尾を残した”時だった。

寿司の出前を取ってくれた社長と楽しくしゃべりながら過ごす昼休み。

 

「M浦くん、エビは尻尾まで食べなきゃだめだよ」

 

これが唯一怒られた記憶。

頑固な社長のこだわりも嫌いじゃなかった。

 

「あんた、今日来てるのはM浦くんじゃなくてO嶋くんでしょ」

社長の奥さんは初めてお会いした時から目が見えないのだが声だけで認識してくれる。

 

社長はいつも自分とM浦とを間違えていた。もはやネタになっていた(笑)

 

緊張感の中に程よい笑いを入れてくれる社長がわりと好きだった。

 

 

 

 

 

12月から近くに住み着いた猫(勝手に家族だと思っている)が姿を見せなくなった。

 

毎日ご飯を用意して、寝床もトイレ(屋外)も作って一緒に散歩したりしてた猫がいなくなった。

 

お腹がすいたら構ってくれるまで鳴くという強気のスタイルだった女の子が消えてしまった。

 

外にいた子だしどこに行こうと勝手だけどさ…あんなに一緒に遊んだのに

 

 

 

 

 

 

 

 

みんなそうだけど

 

いなくなる時は勝手にいなくなる

サヨナラなんて言う人にはまた会えるけど

本当の別れは何も言わずに突然に

 

 

 

 

 

フィジーに来て「言いたいこと、聞きたいこといっぱいあるんだけど何て言ったらいいのかわからない」という理由でコミュニケーションを取ることを躊躇うことが増えた。

 

明日調べて聞こうとか、あとでゆっくり話そうとか

それじゃいけない。

 

 


精一杯伝えなければ。言いたいことを言えるうちに。

 

 

 
社長には「大嶋です」って結局言えなかったし
猫には何を言っても仕方ないし

 

 

 

 

 

 


秋にスマホデビューした母親ですが最近LINEを駆使しだして「未読無視しないで」とか「せめて既読つけて」とか言ってきます。

 

どこで覚えたのか「おかーさんクリぼっちだから電話しよ」の文面を見たときは驚き過ぎて思わず無視しました。


あんなに自分の価値観を大事にしていたのに…息子は悲しいです。

 

 

「いつまでも元気でいてくれ」と思いながらそっとスタンプで誤魔化す大嶋でした。

 

 

NO SWING

NO HIT!!!!!‼

 

U15オセアニア大会3位の実情

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ニュージーランドから帰ってきましたフィジー野球隊員の大嶋です。

 

いきなり余談ですが私の名前はケントって言います。
Kento 海外でも読みやすい、覚えやすい音にと両親がつけてくれました。
なんでも「ケントなんたら」と言う有名人がいるんだとか…
漢字の意味は大それたものなので割愛。

両親の予想通り海外に飛び立った息子はオークランドの入国審査でこんなやりとりをしました。

「君の親はスーパーマンのファンなのかい?」
「違うと思います」
「フィジー代表のコーチなんだよね」
「僕しか教える人がいないんで」
「じゃあやっぱりスーパーマンだ」
「(なんで?)そうだといいです」


結局このやりとりは帰りの飛行機で「バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生」を観るまで理解できませんでした。

スーパマン…クラークケントていうのね。

名前負けもいいとこだな(笑)


映画『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』予告1(字幕版)【HD】2016年3月25日公開


ただでさえ今回は書きたいことがいっぱいあるのに出だしから話がそれてすみませんでした。


さて本題のAuckland遠征ですが。

今回7年ぶりの国際大会ということで気合を入れて臨んだわけですが、結果から言うと大変聞こえの良い3位入賞ということで、私もナショナルコーチとして指揮をとり銅メダルを頂いてきました。

U15オセアニアチャンピオンシップでフィジー代表が3位。


過去最高の成績。 控えめに言っても快挙。素晴らしいとしか言いようがない成績です。

 

もちろん満足はしていませんが、2003年に野球を始めたフィジーという国でJICAの2代目のボランティアとして記念すべき瞬間に立ち会えたこと心から嬉しく思うとともに、ここまでの道のりを作ってきてくださった皆様にこの場をかりて感謝申し上げます。


Vinaka vakalevu

 

https://www.instagram.com/p/BeOU-X5nhUVgLs6_BGCIxf7llWo2p11qcaA7GI0/

終わり良ければ全て良し。フィジー野球U15ナショナルチームはオセアニア第3位という形で初めての大会を終えました。搭乗手続きで銅メダルを持ってかれそうになりました(笑)今からフィジーに帰ります。取り急ぎご報告までに。#FBSA#Fiji#WCBF

 

大げさに喜んだ後は書きたくないことも書いていこうと思います。
正確には悔しくて書きたくないけど事実を公表するべきと判断して渋々書き連ねていると言ったものもあるということです。

 

事実と事実の合間に私の主観的な意見や考察なんかも混じっています。
フィジー代表のコーチとして、JICAボランティアとして、日本の一野球人として思ったことを綴らせて頂きます。

 

 

 

大会前に自分で設定した目標の達成状況。

 

  • 大きな事故ケガ無く遠征から帰ってくること。→〇
  • 子どもたちが楽しい思い出を作ってくること。→知らんけど多分〇
  • 誰よりも(子どもより)率先して楽しむこと。→順位はつけられないけど〇
  • 野球以外のことも学んでもらう→判断不可
  • あわよくば結果を残すこと→どう考えても〇


大方の目標は達成できている。
何よりも一番最後のものが大きい。

銅メダル。という響きは決して悪くない。

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結果が全てと言われるスポーツの世界でわかりやすい結果を残せたことは嬉しいことである。

 

選手には「結果よりもプロセスが大事」なんて言ってきたが、どんなキレイごとを並べても結果を出さなきゃ指導者は評価されない

 

周りは結果しか見ないのだから

 

選手の親だって普段の練習で子どもたちがどんな様子なのか知らない

ケガをして帰っても手当てもしないで次の日来ることもある

 

ただ、銅メダルを取ったからと言って扱いが変わるわけでも手当てがつくわけでもない。

なんだったら「なんで優勝できなかったの?」なんて聞いてくる方もいる(笑)

 

今回の大会に関して言えば絶対に優勝できない状況だったのだ(後に記述)

 

Fiji野球としては、大会参加自体が大きな一歩な上に結果だけみたら万々歳のお祭り騒ぎだ。

 

しかし、大嶋個人の感想で言えば「楽しかった半面、悔しい思いもたくさんした」7日間だった。

 

 

語学力が不十分で発言が思うように出来なかった

 

ニュージーランドも英語(マウリ語は今は殆ど使われていないらしい)が公用語となっているのだが、癖が強いというかめちゃくちゃ早い。
フィジアンのゆっくり英語に慣れているせいか3割くらいしか聞き取れない。
3割打者なら上出来だがコミュニケーションが3割しかできないとなるとかなり困難だ。
初日からこの言語の壁に悩まされた。


試合中も語学力に自信がないのを言い訳に抗議をするのをためらったことが何度もあった。


最初の試合の主審のジャッジには何度も頭を抱えた。
ベンチからではボールの高低しか見えないので横幅まではわからない。

しかし明らかに低い球をストライクとジャッジすることが多い。
主観的な見方になってしまうが誤審と思われることが多かったように思う。
更にカウントのミスも多かった、フォアボールのはずなのに続けさせる。

投手の球数制限があったので自分もカウントを付けていたためこれにはすぐ気が付いた。
初めは自分のみすだと思っていたが3回4回と続くと流石に相手を疑いたくなる。

途中で聞きたくない情報が飛び込んできた

「あの審判は相手チーム(ニューカレドニア)の選手のお父さんらしい」

こんなことを聞いてしまったら子どもたちも黙っていない

「だからひいきしてるのか」とか「それじゃ勝てないよ」とか言い出す。

最悪のタイミングでこの情報。

「文句を言っても審判の判断は覆らないし、リスペクトの話をしたよね?」と選手に言いながらも、主審に対する疑心は大きくなるばかりだった。


彼は倒れた。主審は試合の途中で後ろにひっくり返った。大人たちが駆け寄り水をかけたりして応急処置をしてその後病院に搬送された。

熱中症だったのだろうか、その日ニュージーランドは夏で フィジーの暑さになれている自分でも熱いと感じた日だった。

彼の誤審やカウントミスは体調不良から来るものだったことだろう。
そもそも誤審だったかなんてことはだれにもわからない。
分からないが、だからこそ疑いの念を抱いてしまう。

子どもたちになんて話をしたらいいのだろうと考えていたが、彼らは審判が変わったことをきっかけに勢いをつけて僅差まで試合を運んだ。


結局16-12で負けたその日の夜、こんな話をした。

世の中はアンフェアだ。
相手チームの審判が主審をすることも在る。
審判も人間だから間違えることだってある。
だからと言って文句を言っても何も変わらない。
文句のつけようのない勝ち方をするしかない。

相手の方がいい道具を使っている。
彼らは室内練習場もあって雨の日でも練習ができるから強い?

良い道具をもってるから、良い環境があるからと言って勝つとは限らない。
雨ならフィジーのほうが降るし雨の日の練習は皆のほうがしてる。
天気が悪いことは逆にチャンスだ。

俺たちがコントロールできるのはなんだ?
相手はコントロールできない。
審判だってコントロールできない。
グラウンドだって時にはイレギュラーをおこす。
天気だって操れない。

じゃあ何ならコントロールできるのか。
自分自身。自分がコントロールできるのは自分だけじゃないか。

周りと比較したりする前に、自分の出来ることを精一杯やってみようぜ。

 

 

この話は珍しく彼らに刺さったようだった。
いつもならあくびをしたりよそ見をしてる子どもたちが真剣に聞いていた。

 

大会最終日の朝にはにはイアンソープの話をした。
オーストラリア出身の水泳選手。

彼の言葉をメモしていたのを引っ張り出してきて読み上げた。

I don’t swim for medals, I swim for performances.
The difference between the two is that you have control over the performance, you don’t have control over where you come in the race.
So I concentrate all of my energy on being able to get the best performance out of my self, I think it’s the right way and the best way to approach a competition.

僕はメダルの為に泳ぐのではない。いい泳ぎをするために泳ぐ。
どう違うかと言うと、良い泳ぎをするのは自分次第だが、何位になるかは自分の力を超えたところで決まる。
だから僕は自分自身で最高の泳ぎが出来るように、持てる力を全て集中させるしかない。
これが競技に臨むうえで最良のやり方だと思う

イアンソープ

 

 

この話はダダ滑りだった。
こんなに静かな彼らを見たことがないってくらいシラケていた。

何言ってんのケント?みたいな顔をしていた。

3位決定戦を前に興奮気味の選手を落ち着かせることに成功したってことにしておこう。

 

 

特別な大会だからって特別な話をする必要はない。
それよりも「世の中はアンフェアだ」なんて子どもたちに話している自分が情けない。

もっと俺が話せれば…と語学力の所為にしているのも悔しい。

 


一番悔しかったのはフィジーとニューカレドニアの処遇。と、それについて何も言えなかったこと。

 

ここで衝撃の事実を書くが今回のオセアニア大会の参加国は僅か4か国だった。(もともとはもっと多かった)

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4か国中の3位。準決勝スタート。下から2番目。

 

呆れる顔が目に浮かぶ。

しかし我々はどうやっても2位以上にはなれなかったのだ。

 

優勝 オーストラリア

準優勝ニュージーランド

3位フィジー

4位ニューカレドニア

 

 

 

(ここからは書くかどうか本当に迷いましたが、実情を知ってもらうことも野球の発展に繋がると思い決断いたしました)

 

4か国総当たりのスケジュールを無視した試合の運営。

3日間、我々はニューカレドニアとしか試合をさせてもらえなかった。

隣のグラウンドではオーストラリア対ニュージーランド

事実上の決勝戦を5試合続けていた。

我々は3位決定戦を5試合。

 

隣のグラウンドにはテレビカメラもメジャーリーグのスカウトも来ているのに、こちらのグラウンドには何もない

確かに力の差はあった。

同じ施設に泊まっていたニュージーランドの選手はみんな体が大きくてオークリーのサングラスをしていた。

フィジーの選手はファーストコンタクトで気負されていた。

「俺たちは体の大きさや道具の値段で勝負するんじゃない。1点でも多く取った方が勝つ。それだけ。」そう奮い立たせてやった。

初戦のニューカレドニア戦はいい試合をした。
序盤は四球失策から続く長打で大量失点をし2回の時点で13-2。

「あいつらに出来て俺らに出来ないはずがない」と打っては走りでフィジーも巻き返した。

最後は負けてしまったが16-12と諦めない姿を見せてくれた。


隣のグラウンドの試合は既に終わっていた。3回コールド15-0オーストラリア。

あのニュージーランドでもオーストラリアには歯が立たない。

子どもたちは言葉が出ないようだった。

 

結局、初戦はウォーミングアップということで結果は反映しないということになり翌日からが大会本番ということになった。

翌日も、その翌日もニューカレドニアと試合をした。

隣のグラウンドの2か国とは試合をする意味がないという判断だったようだ。
また、一緒のグラウンドでプレーするのは危険という意見もあったらしい。

 

 

高校生(U18)が金属バットを使用しているのは日本だけ。
世界の野球ではU18からは木製のバットを使用している。

18歳の少年に金属バットを振らせるのは危険だからだ。

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15歳とは言えど体格は大人同等。
音を立てながらガムを噛み、後ろ髪は帽子からはみ出させ、肩で風を切るように揺れながら歩く緑のユニフォーム。

 

日本の高校生かそれ以上の打球を放っていた。

“これは一緒に野球をやらせたらケガをする”と判断されてもおかしくはない。

そう思ってしまった自分がいた。

 

野球を始めて数年のフィジアンと彼らが試合をするには余りにも力の差がありすぎる。
野球選手としての力も、支援してくれる国の力も、その差は歴然だった。

身に着けているもの使っている道具、ユニフォームに入っているスポンサー企業の数。

フィジーのスポンサーはゼロだった。ユニフォームも土曜の夜に届いて最終日にしか着れなかった。

 

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サイズミス、番号ミスが多々。コーチなのに背番号2て(笑)

 

こうも力の差があると悔しさも沸いてこないのか、運営側の判断に異を唱えるものは居なかった(いたかもしれないけど知らない)

自分がいち早くこの事態に気が付いていれば文句を言いにったかと言うと…何とも言えない。

ここでも自分に言い訳を作って行動できないでいる自分がいた。

 

選手の安全を思っての運営側の配慮だと理解している。

悔しいけどこれが現実。

いつか必ず同じ舞台に立って金色のメダルを持って帰りたい。

 

 

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反省や課題も山ほど見つかったけど、可能性を感じることもたくさんあった。

 

3試合(公式記録が残っている)で37得点。31失点。超攻撃的野球。

バッティングの力は国外でも通用するという自信はついた。

 

盗塁の数もダントツ。(公式記録が出ていないが)大嶋の計算上5試合で100以上のスチールを決めている。

 

機動破壊の超攻撃野球。

 

3ヶ月大嶋相手に打って走ってを繰り返してきた選手は同い年の相手では物足りない様子だった。

逆に反省点としても選手にピッチャーをやらせる機会が少なかったために投手が育たなかった。投手力の課題は(大量失点)四死球の多さが物語っていた。

楽しい練習ばかりしてるとこーなるんだなと指導者として深く反省しました。

 

 

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コミュニケーション能力の向上。

もともと身内には強く初対面には引き気味の性格の彼ら。

 

選手間のコミュニケーションと自分の意見を共有することを3ヶ月言い続けた結果、他国の選手指導者とも怖気づくこともなく話せていた。

Fijiイングリッシュは殆ど通じていないのにゴリゴリに話しかけ続けるスタイルは自分も見習わなければと思った。

 

コミュニケーションの場はグラウンドにとどまず、宿舎の卓球上でニュージーランドの選手に自分ルールを押し付けている様は圧巻だった(笑)

 

通行人の女性をフィジー語でナンパするし、ビーチに行っても水着の女性に声をかけるし(俺には水とか砂ばっかかけてくる。)そのたびに一緒に謝ったり一緒に逃げたり迷惑ばかりかけるわんぱく小僧達。

 

やっぱり楽しむ才能は抜群でした。

 

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空港で幼児向けのおもちゃで遊ぶ代表チーム



この1週間の遠征で、3か月のナショナルチームプログラムで選手に対して技術指導以外の話をすることが増えた。

 

野球が出来るのなんてあと十数年。野球をやめてからの人生のほうが長い。

お節介と自覚しながらも野球以外のことも厳しく指導した。

 

自分は野球をやっていたことで学んだことは野球以外のほうが多かった。

 

グラウンドでは褒めるように、ポジティブなことを言うように


宿舎では野球以外のことを話すことが多かった。
マナーとかモラルとかルールとか。


野球人としていつかもっと大きな国際大会に出るかもしれない。
オリンピックに出るかもしれない。


彼らが今後のフィジー野球を中心になって引っ張っていくと思って厳しく当たった。

 

ここはフィジーとは違う。
自分たちだけが利用しているわけじゃない。
どうしたら次の人が気持ちよく使えるか。

 

部屋を出るときは靴を履くとか服を着るとか、廊下で寝そべらないとか、トイレで遊ばないとか、飛行機の中で歌わないとか

 

注意していて思わず笑っちゃうことも何度もありました。


ホントにどんなところでも楽しめてしまう彼らの才能が羨ましいと思う反面、一緒にふざけられない立場が邪魔だなとも思うようになりました。

 

グラウンドでの発言も、代表チームのコーチとして言葉を選ぶようになったし大人になるってこーゆうことなのだろうか。

 

 

いつも遊んじゃう子どもたち。

わかる。俺もそうだったし「遊ぶな」って言う方が無理がある。


でも「遊んでいーよ」とは言えないから「トレーニングだ」といって鬼ごっことかしました(笑)

 

 

 

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もっともっとわかりやすい話し方をしたいと思った。

 

 フィジーの子どもも大人も自分でさえも

他人のせいにすることが多い。


負けるのは審判のせい。
上手くいかないのは道具のせい。

仲間のエラーは強く責める。

 

これじゃ楽しくない。

 

雨で試合が無くなった日に地元のプロバスケットボールの試合を見に行ってきた。

ブレイカーズの選手は仲間のミスを責めていた?
フリースローを外してもハイタッチをして励ましあっていなかった?

 

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皆だったらどっちが楽しい?
お互いのミスを責め合うチームと励ましあうチーム。

 

簡単な話で伝える。具体的なエピソードを加える。ヒントを与えて自分たちで選ばせる。
大人が「あーしろこーしろ」言うのは簡単だけどそれでは伸びない。
自主性がなくなってしまう。

 

7日間毎日、選手一人ひとりに目標を決めさせた。チームの目標もバスの中で選手たちに決めてもらった。

 

ボールを体で止めるとか両手で捕るとか具体的なもの。

チームの目標は「全力プレー。と、応援しあう。」に決まった。

 

自分たちで決めた。という事実が大事。

コーチが決めたものを嫌々やるのではなくて、自分たちが決めたことだからやろうと思える。

 

全力でプレーする。仲間を応援する。

 

自分次第でどうにでもなること。上手い下手関係なく誰にでも出来ること。


最後の試合は自分たちだけで雰囲気を作っていた。
どうやったら楽しく野球が出来るのか。
どうやったら仲間は喜ぶのか。
どうやったらチームは一つになるのか。
自分に出来ることを必死に探していた。

 

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What you can do now?

7日間で一番多く口にした言葉。

 

今、自分に出来ることは何?

 

特別なことじゃなくて

 

当たり前なことを当たり前にやる。

 

それが一番難しいんだけど

 

 

 

 

ニュージーランドに来たからって彼らは何も変わらなくって

 

特別なことは何も起きなくって

 

特別なことをする必要もなくて

 

 

 

結局カタチになって結果を出したのは

 

バットを強く振るとか、必死に走るとか、仲間を応援するとか

 

普段からやってること

 

特別な何かじゃなくて

 

毎日の積み重ねが何かを生み出すんだと

 

今回の遠征は野球協会にとっても子どもたちにとっても自分にとっても大きな経験になった

 

俺の言葉だけじゃ何も変えられないけど

 

目で見て聞いて感じた彼らの中で

 

変わった何かもあったはず

 

俺はスーパマンじゃないし

 

メタヒューマンでもなくてただの人間

 

「普通の人間が

 

この世界を動かしてるし

 

明日を作ってる

 

普通で良いんだよ」 選手のおばあちゃんが教えてくれました。

 

 

特別な7日間。ハレの日。

 

それと同じくらいフィジーでの普及活動も大事。

 

また普通の日々が始まりますが、これからも子ども達に負けないくらい楽しんでいく所存です。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

NO SWING

NO HIT!!!!!‼

本音とホンネ

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いよいよナショナルチームオセアニア遠征当日になりました。
今日7年ぶりの国際大会にフィジー野球が挑戦するたびが始まります。

 

子どもたち、いや選手たちは驚くほどのスピードで変化しています。

この2ヶ月で少なくとも5000スイング5000キャッチ5000スローを全ての選手がこなしました(計算上)

 

練習の質も大事ですが(数も大したことはないですが)フィジアンの少年が自分の時間を野球に割いて努力をしたということ大きいです。

 

特にバッティングは見違えるように伸びています。オセアニアでも通じるだろうか…

 

野球の技術の他にも、チーム力というかコミュニケーションとかリレーションシップというか、あとはリスペクトとかマナーとかカタカナばかりですが数字では表せない部分の変化も見られます。

 

こっちはどこに行っても通じることなのかな。

 

chengeを求めてchalengeしてきた結果得たchance。

 

それでも唯一変わらないものは「楽しむ」気持ち。

 

キツイトレーニングでも、雨の日の練習でも、コーチに怒られていてもいつでも楽しめちゃう彼らはこの先どんなことがあっても楽しめちゃうんだろうな。

 

そんな13人の少年たちの人生を変える旅に今日出発します。

 

期待と不安と緊張といろんなものをひっくるめて最高の7日間にしたいと思っています。

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やっと真っ直ぐ歩けるようになりました(笑)

 

と、その前に。

 

本音と建前。なんて言葉が日本にはありますが、先日同期隊員(同居人PT)が活動先に診療に来てくれた際のことを…

 

日頃から数人の選手が体の痛みを訴えていたことと大会前の追い込み(練習)の疲労も考慮してプロに体を診てもらうことに

 

とはいえ、相手は思春期の少年。

 

大して痛くもないのにここぞとばかりに大げさに訴えてみたり

ホントは痛いのに何ともないように振舞ってみたりと指導者は選手を見て聞いて判断しなくてはいけません。


一人の選手が数日前にダイビングキャッチで胸を打ったことによる痛みを訴えていました。

 

明らかに腫れている。素人目に観ても内側に異常があるのは間違いないと言える状態。
それでも「出来る。やりたい。」と言って聞かない本人を何とか話して無理矢理休ませてきた今週。


プロに判断してもらった結果、「骨がずれて靭帯が損傷している」とのこと。

「痛みが引くまで休ませるしかない。これ以上の治療は出来ないし一生このまま。このままスポーツを続ける選手もいるし、やめてしまう人もいる」

 

不安げな表情で選手と同僚が聞いている。


痛みがある以上は最高のパフォーマンスはできないだろうし更なるケガの恐れもある。
ただ、今休ませたところでケガの状態が良くなることもない。


そんな状態の選手の起用法とは、指導者はどんな判断をしたら良いのだろうか。

 

ケガに悩まされる選手の気持ちもわかるし、やらせてあげたい気持ちもある。


ただ、ケガをかばったプレーで更なる事故を呼ばないとも言えない。選手としての将来性ももちろん、それ以外の可能性をも摘むわけにはいかない。

 

 

どっちも本音。


彼の起用法については今も決められずにいる。

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徳さんいつもお世話になってます。いつかチーム専属フィジオに…

 

 

チームの方針。というか自分が野球を教える上で一番大事にしたいと考えているのが「楽しむ」ということ。これは教えなくても彼らは出来るし彼らに教えてもらうことの方が多いのかな。

 

他にも「尊敬」とか「挑戦」とか日本の野球で学んだものも少しずつ取り組んでる。

 

 

    Enjoy everything
    Full power play
   Go Forward
    Overcome against yourself
    Respect one another
Always Try harder

 

EFFORT(あんまり努力は強制したくないのだけど語呂が良かったので)


その中で選手に一番言ってきたのが「全力でやる」ということ。

 

どんな時にも全力を出し切れる選手になってほしい。

体調が優れない、調子が悪い、色んな理由で人間は100%の実力を発揮できないことが往々にしてある。

 

ちょっと深爪だとかささくれだとかでパフォーマンスは落ちる。

 

そんな時こそ「体調が悪い」と言い訳をせずに、出せるだけの力を出し切ってほしい。

普段の70%の力しか出せない時に、70%出し切れる選手になってほしい。

全力を出して初めて自分の実力がわかるし、変化や成長もわかる。

 

「練習の全行程3時間ぶっ通しでダッシュしろ」とかそーゆうことを言ってるんじゃない。
オンとオフをしっかり作ろう。

 

全打席ホームランを打てとか三振をいっぱい取れって話じゃない。
バットを思いっきり振るとか、一塁まで全力で走るとか、誰にでも出来ること。


誰にでもできることを一生懸命やろう。

 

 

このFull power playは口を酸っぱくして言ってきました。

 

もちろん、全力でやったからヒットが打てるか?って言ったら打てない時もある。

 

勝負事。相手も勝ちたいから全力でぶつかってくる。絶対に勝てるって言うわけでもない。


毎日100回バットを振ったらプロ野球選手になれるわけでもない。

 

でもやったらその分は近づく。
やらなかった自分より間違いなく近づく。
可能性が少し増える。

 

出来ないより出来たほうが楽しい。
知らないより知っていた方が楽しめる。

 

やってもやらなくてもいい遊びだからこそ、どうせ時間を割くなら本気でやろうぜ。

 

上手くなろうぜ。

 

上手くなった方が勝てる確率は高いし

勝ったほうが楽しいに決まってる。

 

 

 

これはいつしかのミーティングで言った話。
最後はやっぱり「楽しい」に行きつく。


最近では選手たちの口から「フルパワー」とか「100%プレイ」とかが出てくるようになったので、少しは浸透してきたのかな。


For winとかFor Fijiとか「勝つために」と彼らは言い、自分も彼らがそう言うならと厳しい指導もしてきたつもりです。


時には大きい声を張り上げたり、大雨の中でもバットを振り続けたりもしました。
彼らはよく続けてきたなと思います。

 

「勝つために」と何度も唱えていました。

ナショナルコーチとしてこの気持ちと言葉に嘘はありませんでした。

 


しかしフィジー野球協会の1スタッフ(野球普及員)としては、まずは今回の遠征を実施させることが何よりの大きな一歩だと考えているのも事実です。

 

 

今まで7年間も何度か国際大会への招待を受けていましたが、参加表明をしては選手が集まらなかったりお金が集まらなかったり様々な理由で実施できていませんでした。

それが実施できる。

 

自分たちでチームを編成して資金を集め、パスポートやビザの手配をしてと大変な道のりを経て今日まで来ました(自分は殆どグラウンドに居て、CPが走り回ってくれました)

 

他にも海外にいる教会役員や短期ボランティアの先輩や前任の野球隊員など多くの方の小さな活動行動の積み重ねの結果、今回オセアニア大会に参加することが出来ます。

 

こんなラッキーな瞬間に立ち会えるなんて本当に幸せな年の初めです。

 

と言ったものの、不安は山積み。

 

お金を滞納している保護者がいっぱいし、今週に来て中心選手のケガ。

空港に来るまでのバスでも警察が乗り込んできてフィジー語で怒られていたし、空港での手荷物検査でも何か没収されてるみたいだった。

 

飛行機でWi-Fi失くすし、ユニフォームと帽子は届かないですしお寿司。

 

何着て試合に出るんだろうか(笑)

 

こう何度もアクシデント?が続くと笑えてくる。

 

ケラケラ笑いながら日本語でここに書くことでどうにか冷静になろうとしています。


最初から準備万端な旅は自分には似合っていないけど、破天荒な旅を楽しんで無事に帰ってこれたらいいなと思ってます。


The important thing in the Olympic Games is not wining. But taking part.
The essential thing in life is not conquering, but fighting well.
オリンピックは勝つことではなく参加することに意味がある。
人生においても征服することではなく、よく戦うことだ。

 


選手の全力プレーでチームの勝利を願っているのも本音。

大きな事故ケガ無く遠征を成功させたいというのも本音。


頭の中整理出来ていませんが、こんな状況も実は最高に楽しいです。
悩めるって幸せ。


1週間後どんな報告が出来るのかな。

 

 

 

 

最後に

ニュージーランドに行くってことを聞きつけた日本人たち(先輩隊員やらVCやら大使館の方々)が応援のメッセージとともに「マヌカハニー買ってきて」とか「お土産はチョコ以外で」とかお土産の注文までしてくるんです。

 

フィジーこーゆー国です。奥ゆかしい日本人をこうも変えます。

 

寮母に「空港でラム肉買ってきて」と言われた時にはさすがに笑っちゃいました。

近所のお使いじゃねーぞ(笑)

 

 

 

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そんな感じで楽しんできまーす。

NO SWING
NO HIT!!!!!

お金と生命と日焼け

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部屋とワイシャツとわたしみたいなタイトルになってしまいました。

2018年も相変わらず書きながら迷走しています。

 

 

 

Auckland遠征まで1週間となり最後の追い込みで熱くなっている野球隊員大嶋です。

大嶋の野球熱に比例するように首都スバの気温もぐんぐん上がっています。
日焼けが止まりません。毎週のように脱皮と生成を繰り返しています。

サングラス焼けでパンダみたいな顔はどこに行ってもクスクス笑われます。

 

 

 

自分の中での“(大会で)勝ちたい欲”が日に日に膨らんできて些細なミスで大きい声を出してしまう人間としての小ささが最近の悩みです。

 

 

昨年の11月から本格的にスタートしたナショナルチーム
同僚CPは資金やユニフォーム作り、選手のパスポートやビザにエアチケットと大忙し。
現場の自分も一人でアタフタしてたり。

 

そんなこんなを乗り越えてようやくチームもチームらしくなってきました。
当初から不安だったお金の問題も殆ど片付いたようです。(実はまだ不安)

 

というのもナショナルチームとは言え、野球の認知度は下の下。

国際大会とは言え費用は全額自己負担。
選手の保護者には相当な負担が強いられます。

 

往復の飛行機代と1週間の宿泊費、食費その他諸々で約2000フィジードル。
一般的な国民の平均月収が1000フィジードルとされている中でのこの額。

とんでもないことです。

 

息子がドはまりしている謎のスポーツの為に、2ヶ月分の給料をポンっと出せる親が日本にどれだけいるだろうか。

 

兄弟でチーム入りしている家庭は4か月分。


昨年から始めて親元を離れて生活するようになった自分にも、この出費がいかに大きいかがよくわかります。というか自分も行くので(笑)

 

日本で言ったらユースの侍ジャパン

スポンサーがついたりしてユニフォームから費用まで出してもらえるんだろうな(あくまでも予想)と思うと、今回身を切る想いで払ってくれている選手の保護者には僕からも感謝をもう仕上げるレベルです。

Vinaka vakalevu

 

お金の関係でナショナルチームへの参加を途中で辞退した選手もいました。


ここには書けないような話もあったりして、悲しい知らせを同僚や子どもたちの口からきくたびに「野球(好きなこと)が出来ることに有難みを感じ、当たり前のことなんてないんだな」と日々感謝を忘れずに野球小僧達と汗を流しています。

 

 

 

 


野球するのにはお金がかかる。
日本人でもよく知っているこのこと。
お金がかかるスポーツだからこそ学べることがある。と思う。

 

野球=お金がかかるってのは
フィジアンもなんとなくわかっているみたい。

サッカーやバスケはボールさえ有れば出来るし、ラグビーなんてペットボトル一個で遊べちゃう。最強かよ。


野球は道具がいっぱい必要。
でもその道具も彼らはいつも借りるだけで自分のお金で買ったことがない。


「タダほど高いものはない」なんて言うけど、自分が負担していないものって意外と大事にしないみたい。

グラブを投げて渡すことは未だにやっているし、バッグに座ったりボールを踏んだりする光景もだいぶ減ったがまだまだ。

 

 

価値を知らないから。値段じゃなくて価値。


高いから大事にするとか、安いから粗末に扱っていいとかそーいうんじゃなくて

 

もっと本質的なところの話。

 

 

 

 


野球の技術云々もそうだけど
人の行動は基本的に強制できないと思っていて
出来るとすれば、彼らの考え方を変えるきっかけを与えるくらい

 

 

指導とは………被指導者の心身の機能と構造を変容させること。

 

 


「こうしたら上手くいくかもよ」っていう提案をして、相手がやってみた結果で判断する。

 

「なぜなら、こーゆー理由があって」って時には理屈も交えながら

 

 

 

「20ドル札落ちてたらどうする?」
「拾う!」
「お前が今踏んでたボール、20ドルするんだぜ?」

って話だったり

 

 

グローブを投げる選手には
「君の家では赤ちゃんを投げるのかい?」って聞いたりする。

 

 

 

極端な例だけど、野球選手にとっては道具は商売道具だし相棒だし家族みたいなもの。

手入れして大事に扱えば助けてくれる、そうしなければそうじゃない結果が返ってくる


最初は判りやすい形で価値を知っていけば大きくなった時に意味が分かる日が来る。
自分がそうだったように。
そうして彼らが次の世代に伝えてくれればいい。

 

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ユニフォームが配られた時の喜びようと言ったらもう。

あの瞬間の感情を忘れてほしくない。

 

野球道具だけじゃなくって他のものも大切に出来るようになってくれればなお嬉しい。

 


最終的にはを大切にっていうのに繋がる。

 

毎週のように練習以外でケガをしてくる選手がいる。


「代表選手なんだから自己管理をしなきゃ」なんて指導は間違っているのかもしれないけど「みんなの体には2000ドルの期待がかかってるんだぜ」と最近は笑いながら言ってます(半分マジ)

 

 


足が痛くて引きづってるのに「まだできる」と言って聞かない選手もいる。

わかるよ。気持ちは解る。でも指導者は選手の将来を預かってるから。

 

「何のためにやっているのかを思い出そう。今バッティング練習をしたいのか、来週の試合で活躍したいのか。どっち?」

 

 


自分を大事に出来て初めて他の大事な何かを手に入れられる。


これは健康管理員に頂いたお言葉です。

偉そうに言ってる自分も日焼けのし過ぎで怒られてしまいました。
今年は日焼け止め塗ろうかな…


残り1週間 自分に出来ることを!

Do what I can, where I am, with I have


NO SWING
NO HIT!!!!!

Action ~ 行動

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あけましておめでとうございます🐶
 
 
と何度か使ってから「何が めでたいんだ?」とどうでもいいことが気になってしょうがない野球隊員大嶋です。
 
「大きな事故ケガなく健康に今日という日を迎えられたことがめでたい」とありきたりな答えにいきつきました。
 
はいはいおめでとうございます。戌年ですわんわん。
 
 
 
めでたいと言えば先日フィジーにてテレビデビューいたしました。
同僚CPが熱く語っている後ろでパンツみたいにチラッと映ってます。
よ~いアクション‼


FIJI ONE SPORTS NEWS 281217


  •  
    「フィジーのテレビはチャンネルが二つしかない」
    「毎日ニュースですらも再放送している」
    という情報を教え子から入手して「いよいよ有名人になってしまうな」と謎の不安を抱えています(笑)
     
     
     


    実際に土曜の朝バス待ちをしていると
    「ケントもタウンに行くの?」と知らないおばさんに声をかけられました。
    知らない人から声をかけられることはしょっちゅうあるのですが名前を呼ばれることはなく、若干の恐怖を覚えたのでテキトーに答えてタクシーを拾ったら
     
    おばさんも乗り込んできて「ケントもタウンなら一緒に行こ」って
     
    図々しく隣に乗り込む知らない中年女性(フィジーだとたまに相乗りする)とクリスマスの話とか教会の話をしながらオフィスまで
     
    結局タクシー代も払わされた上に朝ご飯のみかんまで奪っておばちゃんは朝のマーケットへ消えていった。
     
    ナンデオレノナマエシッテルノ
     
     
     
     
     
  • 思った通りにはならないが、やった通りになる
  • Actionを興す
     
     
     
     
     
    師走~SHIWASU~  ほんとにあっという間でした。
     
     
    有難いことに活動がめちゃめちゃある(出来る)というラッキーな状況なので、週6で野球をして休みの日に遊んで家に帰ってきたら死んだように眠る毎日を送っています。
     
    クリスマスは初の連休だったので酒飲んで踊ってぶっ倒れてました
     
     
    年末年始の休みも昨日と今日だけ(大晦日と元日)
     
    「なぜ疲れないのか」ということをよく聞かれるがよくわからない
     
    多分いっぱい食べていっぱい眠ってるから(笑)
    これさえやっておけば肉体的にも精神衛生的にもなんとかなることを体が覚えている。
     
     
     
    学生の頃(去年まで)は朝までサッカーしたりゲームしたりボーリング場で朝を迎える絵にかいたような遊んでる学生だった。
     
    朝までカラオケで遊んで帰りに居眠り運転をして車を壊したことも在った。
     
    自業自得という言葉があっているかわからないが、当たり前のこと
     
    無茶をしたら体に返ってくるし、労わっていれば力が出せる
     
     
     
     
    思った通りにはならないが、自分のやった通りになる(のが人生)みたいな話を出発前に都庁の人が言っていた。
     
     
    「(途上国に行って、あんなことやこんなこと色んなことを成し遂げて貢献して帰ってきたい)と思って行ったけど
     
    少しの成果と少しの語学力、そして二人の家族(奥さんと子ども)を連れて帰ってきた」
     
    やった通りになってるよね(笑)って
     
    (笑)じゃねーわ
 
 
 
 
 
本当にその通りで
 
やったことはやった通りに
 
ナショナルチームも、最初に思い描いていたような理想のチームでは全然ないけど、やってきたことが確実に形になってきている
 
教えたいと思っていたけど後回しにしていたグラウンドマナーも、気が付いたら俺のマネして挨拶するようになってたしゴミや石も拾うようになった。
以前に割愛した☝背中で語る作戦☟
 

 

no-swing-no-hit.hatenablog.com

 親の言うことは聞かないけど、やることはマネする子ども。みたいな


 
 
 
 やらなければその通りに。
 
 
日焼け止めを塗らないから、いつもどこかしらが剥がれてる。
 
毎日やろうと決めて始めたDMM英会話も最近はサボり気味。
2年間暮らせば語学力も伸びるだろうと思ってたけど、半年たった今でも英語で話すときはドキドキしている。
 


ナショナルコーチとして受けたインタビューも全部カットされていた(笑)

途中2度ほどカメラを止めて聞き直してしまったくらいの語学力🐖
 


FBC 7PM NEWS 27 12 2017


☝18:39から
 
自炊もできるようになると思っていながら未だに麺か米の上に野菜と肉を乗せるだけ。
 
 
 
 
掃除しなければホコリがたまる
めざましをかけなきゃ寝坊する
素振りをしたら皮がむけるし
トレーニングをしたら筋肉がつく
 
何を考えて何を言っても行動が全て結果に結びつく
 
 
 
テレビ局がナショナルチームを取材に来たのも
選手が毎日練習に来るのも
ずっと断られていた国営グラウンドが使えるようになったのも
全部行動をした結果だろうし
 
 
 
 
行動することへの躊躇をなくしたい
今年は「行動する」年に
 
 
 あれこれ考える前にまずバットを振るってこと
考えるのはその後
 
平成30年もよろしくお願いいたします。
 
 
おまけ(いちばん指導者っぽい)

 


FIJI ONE SPORTS NEWS 291217


 
NO SWING
NO HIT!!!!!‼
 

夢 与えちゃったかも

 

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Bula all.  コン二チハ ヤキュウタイインノオオシマデス

 

 

Yaahhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhtto 帰ってきました同僚。

思わずハイタッチしちゃった。


色んなことがあったし、色んなことをやったし、色んなことができるようになった選手たち。
明日以降の練習で選手の変化を見せて驚かせたい。

 

 

  •  0.0011111%
  • 全然普及できてない
  • srow but sure
  • 夢の9ドル札
  • 夢与えちゃいました

 

 

 

先々週までの面談で集めたもの。
ナショナルチームの選手13人。一人ひとりの夢や目標をワードクラウドでまとめてみた。

 

 

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他と比べてProfessionalの文字がやや大きい。
次点でbaseball。そしてFijiとなった。

 

これが何を意味するのだろうか。
「Fijiでbaseballの代表選手に聞いているのだから当然の結果」と言われればそれまでの話かもしれない。

 

フィジーでいったい何人の人が「野球を知っている」のだろう。
フィジアンは「Do you know baseball?」と聞くと少し迷って「yes」と答える。
でもまともに知っている人に会ったことがない。
フィジアンは「no」と言うことをしないのだ

 


人口約90万人のフィジー共和国の中で私が野球を教えているのが約100人。
短期ボランティアの方や前任者の関わった選手たちは未知数だが
全選手の親兄弟を含めたとして仮に1000人が「野球を知っていた」としても       

0.0011111%

 

                   ⁉

 


よくわからない数字になってしまったが99%の人は未だ「野球を知らない」ことになる。

 

「全然普及できてないやん」と思うかもしれない。いや思うはず。

自分で計算してびっくりした。単純な割り算を3度も確かめたのは久しぶりだ。

 

1%にも満たないって……

 

でっでもZEROじゃない!

1000人の人は野球を知っているのだから。


JICAのボランティア事業が入っていなければ2017年現在でも普及率0%だったかもしれない。

 

ゼロからゼロ以上のものを生み出したと言っても過言ではない。 いや過言かもしれない。

 

 

そう思うと我々のやっていることは壮大なことに思えてくる。

全く知らない国から外人がやってきて謎の運動を広める。

それだけでは飽き足らず礼儀作法や挨拶や行動速度までにも口を出してくる。

ちょっとした宗教だ。野球教。

 

 

そしてこの布教活動に参加している熱心な信者たちは「野球教のプロになりたい」のだという。


国全体で見れば限りなく0に近い割合だけれど、ゼロではない。数人の子どもたちの“将来の夢”の選択肢に「野球選手」が入ってきたのだ。

 

野球は、彼らの親だってやったことのないスポーツだろうし、学校で言おうもんなら「お前ら野球なんてやってんのダッセー」と言われるかもしれない。

 

むしろ「ダサい」と言うやつはまだ良い。野球の認知度が低いことを知っているということは、少なからず野球というスポーツの存在を知っていることになる。

 

「野球?何それ?」ってのが99%の国で、彼らは堂々と“野球”を夢に掲げたのだ。

99%の人間が知りもしない超マイナーなものに取り組んだことはないが、周りに理解されにくいことはわかる。

 

minority がどうとか言うレベルの話ではない。

 

 

 

 

 

 

 

2000年に野球協会が発足して17年。

2000年に生まれた子は女子高生になっている。

 

17年経ってもまだ人口の1%にも到達していない普及率。現実。

 

でも確実に増えている。

srow but sure

ゆっくり だが 確実に

 

フィジーに今までなかった選択肢を選ぶ若者が出てきている。
ZEROから1になろうとしている。
この小さな一歩はどんな一歩よりも大きな前進になる。 

 

 

ナショナルメンバーの中にも「野球歴2年未満の選手」が3人もいる。

「去年まで野球なんて知らなかったよ」と嬉しそうに言う彼らは「ラグビーより野球のほうが楽しいと言う。

 

 

 

ナショナルメンバーの13人中11人が「プロ野球選手になりたい」と言い、残りの二人は「プロ野球リーグを創りたい」と言った。

 


私の夢がまさに「フィジーに(プロ)野球リーグを創る」こと。同じ夢なら一人より二人のほうが叶えられそう。

 

五輪とかWBCとかにフィジー代表が出て世界一になった日には自分の銅像を建ててもらおうと思っている。


日本の友人には「世界一になって銅像になってくるわ」と言って別れてきた。
夢はでっかいほうがいい。Think big!

 


話は変わるが2016年リオ五輪でフィジーは初めての金メダルを獲得した。
それが7人制ラグビーだ。
同僚に当時のことを尋ねたら「物凄く感動した」と言ってyoutubeから映像を引っ張ってきてくれたので二人で観た。


Rio Replay: Men's Rugby Sevens Final Match


勝戦を20分にまとめた動画。半分過ぎたあたりで、勝利を確信したのかフィジーの選手がもう泣いてる。
「まだ半分残ってるじゃんね」と横を見ると同僚も泣いてた。
泣き虫かよ。同僚のそーゆーとこ好き🐖

 

 


普及率80~90%(大嶋調べ)のラグビーで国内史上初の金メダル。
首都スバの当時の盛り上がりも想像するに易い。

 

国旗のデザインが気に入らなくて変えようとしていた(らしい)当時の大統領だが首相だかも、金メダルに発狂しすぎて国旗そっちのけで7ドル札を作らせたそう。

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世にも珍しい7ドル札。計算苦手なくせに7ドル札。7人制ラグビーだから7ドル札。
あまりにも安易な発想過ぎて親近感沸く。友達になれそう(笑)


そんなわけで大嶋の二つ目の夢。9ドル札。ちゃっかり自分も入れてみました。
説明は不要かと(笑)

 

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話は戻って子どもたちの夢に…

一人の選手が「ナショナルコーチになりたい」と言った。
「なんで選手じゃなくてコーチなの?」と単純に思ってしまったが

 

ナショナルコーチというのは現在の私の肩書である。
私の存在がそのまま夢になったのだとしらこんなに嬉しいことはない。

息子が自分の店を継ぐと言った時の親父の気持ち。今ならわかりそう(笑)


「簡単な仕事じゃないぞ」と言うと「知ってる。俺なら出来るよ」と。頼もしい。


「ケントに出来るんだから俺にだって出来る」と思われているのなら、それは成功。

 

簡単なことを難しく見せるのは三流。
難しい事を難しく見せるのは二流。
難しい事を簡単にやって見せるのが一流。

簡単だと思われてるなら 俺、一流じゃん(笑)
子どもに“夢”与えちゃいました!(☜ポジティブに捉えすぎ)

 


「世の中は甘くないぞ」って忠告するのが大人の仕事かもしれないが、「お前にだって出来るよ。やってみようぜ!」って背中を押す大人がいてもいいんじゃないだろうか。


別に皆が野球をやらなくたっていいし、なんだったらスポーツなんてしなくたっていい。

 

ただ、目の前に見えている世界が全てじゃない。
世界はもっと広くて、自分の知らない面白いものがいっぱいある。

ってことに気付いてほしい。


これは大人だってそう。
自分自身もフィジーに来て世界が広がったし、知らなかったことばっか見たし、まだまだ知らないことの方が多いんだと思う。


野球だって全然上手くないけど、彼らは自分のように上手くなりたいと言ってくれるし、何かしらの影響を与えることが出来ていると思う。
それだけでここにいる意味はあるだろう。

 

完全なる異文化である“野球”が1%にも満たないフィジアンに受け入れられていること。
野球との出会いは彼らの人生を変えたことになる。
彼らとの出会いもまた、私の人生に大きな変化を齎しているのかもしれない。

 


将来この国にプロリーグが出来る日が待ち遠しいです。
9ドル札のデザインが採用されたら印税で暮らせるかな(笑)

 

NO SWING
NO HIT!!!!!!

最近 学級崩壊 してました

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同僚の出張が伸びて、もう1週間一人での活動となることになり発狂しそうですが、逆に“自分の好きなようにやれる”と思いはじめたやけくそ気味野球隊員大嶋です。

 


前回まで活動(野球)のことを書くのを避けていました。

現実逃避しまくっていました。先輩隊員のとこへ遊びに行ったり、最新映画を見たり、お菓子食べたり、J-popばっか聴いたりしてました。

 

no-swing-no-hit.hatenablog.com

 


なぜかというと、単純に上手くいっていなかったので書きたくなかったからです。

 

 

 

 

子ども相手の仕事だから仕方ない部分はあるものの…


集合時間に選手がグラウンドに来ることはなく30~60分待つことが殆どで、中には最後の片づけをしている時に来る選手も

遅刻してきてアップもせずにいきなり練習に飛び込んで「肩が痛い」だの「足が痛い」だのと、外傷以外のケガが多い

疲れると仮病(明らかなウソ)を使って休む

好きじゃない練習はやらない

水を飲みに行った30分後お菓子を食べながら帰ってくるなど

挙げたらキリがないほどのコンニャローのバーロー岬

顔色を伺いながらフィジー語で何かを話したり(多分グチ)

怒られるとわかっててワザと石を投げたり

 


極めつけは、自分のミスでエラーしたのに「グローブが悪い」と放り投げたり蹴飛ばしたり

さすがに大声で怒鳴りつけてしまった。


それからというもの毎日のように練習中に怒っていました。

 


選手が来ない。イライラ。
やっと来たけどすぐサボる。
アップしない。ケガする。
集中力散漫。ミスする。道具にあたる。→ 怒る。
の繰り返し。

雰囲気の悪い練習が続いていた。

 

 

ナショナルチーム発足から1ヶ月。同僚がグラウンドに来たのは3度。

それ以外は一人で見ているせいか「舐められちゃいけない」という内なるプレッシャーから、よく怒るコーチになっていた。

そのせいかチームの雰囲気は最悪。学級崩壊状態

 

2週間くらい「楽しくないなぁ」と思いながら活動していたし、子どもたちも楽しくなかったはず…

 

 

 

 

 

 

 


そして今。オセアニア大会まで1ヶ月。

チームの雰囲気良いです!

 

挨拶とか、グラウンドのごみ拾いとか、アップは勿論、あんなに嫌がっていた筋トレも素振りも全部 自分たちから進んでやっています。

 

以前は負けたチームが罰ゲームでやっていた片付けも自主的にやるようになりました。

昨日なんか集合時間より前に来てた子どもに「ケント遅いよ」とか言われる始末。


技術面も勿論めっちゃ成長してます。


水を与え過ぎたサボテンのようにぐんぐん伸びます。

 

元々の高いポテンシャルに正しい知識と技術が加われば無敵です。
まさに「鬼に金棒(金属バット)」です。

 

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なんだろうこの変化は?

「どうにかしよう」と思って色々やったけど、色々やりすぎて何が彼らを変えたのかわかりません。


ということでこの1ケ月で自分なりに効果があったのではないかと思われることをまとめてみました。

 

 

  • 欲求を満たす
  • 怒らない宣言
  • 面談
  • 目標設定
  • 飴と鞭

 

① 欲求を満たす
マズローの欲求5段階説※をもとに子どもの自己実現欲求(「もっと○○になりたい」ってやつ)を引き出すためにできることを考えた。

www.motivation-up.com

 

生理的欲求→トイレにいつでも行けるルール。すぐ水を飲めるルール。(ボトルを用意)
安全欲求 →ケガをした時の処置。絆創膏やテーピング対応。
社会的欲求→大嶋では無理
尊厳欲求 →②③に繋がる

 

自己実現欲求以外のものをできる限り埋めることで、自らの意思で「上手くなりたい」とか「勝ちたい」とか「もっと野球をしたい」と思ってもらえるようなアプローチ。

 

② 怒らない宣言
文字通り。「もう怒るのやめるわ。今までごめんな。」と言ってしまう。
子どもたちも驚いていたが最初の一日で理解した様子だった。

 

逆に褒めるるようにした。

 

「ベースに投げろよ」→「ここまで届いたの凄いじゃん。あとちょっとだな!」

 

「まずはボール捕らなきゃ」→「エラーしたけど、その後の送球よかったな!」

 

 


あとは「Don’t ~」という言い方をやめた。

 

「走るな」じゃなくて「歩こうぜ」っていうやつ。

日本語だと簡単だけど英語だと脳内変換に時間がかかるのが難点。

 

 

 

③ 面談
 一人ひとりを呼び出して秘密のお話をしました。(子どもはみんな秘密が好き)

「いつから野球ってるんだっけ」とか「どこのポジション守りたい?」とかから始まり“将来の夢”とか“今後の目標”とかまで聞いちゃう。

最初はふざけながらもいつの間にかまじめな話に誘導するやつ。←これ意外と得意(笑)

 


④ 目標設定
 ③で個人の目標を把握したら定期的にリマインドする。
チームの雰囲気や練習がダラけてきたら「みんなは何で野球やってるんだっけ?」とか「将来プロ野球選手になりたいのは誰と誰だっけ?」とか言って煽る。

 

あとは選手が勝手に頑張る(笑)


 

 

練習メニューにも一つひとつの目標を設定する。

 

ただキャッチボールをしてるだけだったのを、距離を変えたり制限時間を設けたりする。

ベースランニングも一人ひとりタイムを計る。

 

記録をとると子どもたちも競って取り組むので競争が生まれるし、定期的に計測することで成長を見て取れるしモチベーションに繋がる。

 

みんなで一つの目標に取り組むというのは団結力を生むし、衝突も生むけど、コミュニケーションも自然に増えるし結果的に効果があったと思う。

 

⑤ 飴と鞭
競争を増やすことで選手のモチベーションアップには成功したが、回数も増え慣れてくると興奮もしなくなる。

 

そこで強制的に奮起させるのが「勝者への飴」か「敗者への鞭」。
使い方があっているかどうかは不明だが、結果的にかなりの効果を発揮したのではないだろうか。

 

手っ取り早いのが後者。罰ゲーム。

最初は片づけとかダッシュにしてたけど、彼らは走るのが大好きなので罰ゲームにならない。

今ではスクワットや腕立てを黄色い声をあげながらやっています。

 

 

難しいのが飴。そもそも野球が出来ること自体が飴のようなものだった自分からすると、練習以外に飴を用意するなんて発想はありませんでした。

 

しかしここはフィジー。相手はこども。

ということで「少しでも練習が楽しくなるように」とで練習中に音楽をかけはじめました。

筋トレやダッシュ、素振りの時間に彼らのテンションが上がりすぎて踊りだしてしまった日も在りましたが今では調子がわかってきました。

 


そして以前から提案があったプールに行ってのトレーニング。
「どうせ遊びたいだけやん」と却下していたものを決行してみました。


子どもを連れてプールに行くのは遠足のようですが統率が取れないという恐れも抱きつつやけくそで行ってみました。
案の定ハイテンションの子どもたちは遊びまわっていましたが「今日はそういう日」と割り切って自分も遊んじゃいました。

 

結果。楽しかった

 

水深2m。飛び込んでくださいと言わんばかりのガラ空き具合とノーマークの監視員。

 

楽しくないわけがない。

 

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プール行く前にみんなで悲鳴を上げるほど筋トレをしたのに、プールで3時間騒ぐほどの体力を持っていることも分かったし、選手の新たな一面も見られて良い機会だった。

 

 

そして一番迷ったのがバットの貸し出し

フィジーには野球道具を売っている店はなく

ナショナルチーム選手ですら野球道具をもっていない。
野球協会の保有する道具を毎回タクシーに乗せていってるのが現状。

練習したくても道具がなければできない。

じゃあ貸すしかないじゃん。

 

迷っていたのはケレケレ文化による“借りパク”と紛失盗難によるバットを使った犯罪が起きることを危惧したから。

でも信じるしかない。

 

家に帰って振ってるかどうかはスイングや手のひらを見ればわかる、でもそうじゃなくて信じることにしてみた。

 

 

今じゃ「道具の手入れをしよう」とか「両手で捕るんだ」とかコーチのようなことをいう選手も出てきました。よきよき。

 

 

他にも“勝手にコーチに任命作戦”と“背中で語る”作戦もありましたが今回は割愛。

 


「今までやってなかったのか」と呆れるようなこともありますが、“15人もの思春期の少年を一人でみるので手いっぱい”と諦めていました。

 

今回の経験は「意外と一人でもできることあるじゃん」という自信に繋がりました。

 

 

“子どもは大人の写し鏡”

 

子どもがつまらなそうにやっているのは先生のせい

先生が笑顔ならクラス全体が笑顔になる

 

子どもを楽しませるためには、まずは自分が一番に楽しむ

 

そんなわけで大事なことを思い出して誰よりも野球を楽しんでいる大嶋と

 

最近笑顔が増えた子どもたち

 

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そしてこんないい流れを全て無に帰すような巨大な不安要素に気付きつつも見て見ぬふりをしています。その辺は次回にでも。

 

 

今は出来ることを信じてやるだけ。

今年も残り18日!

何回練習できるかな。

NO SWING
NO HIT!!!!!

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